主なアレルギー性疾患
決まった季節になると目がかゆくなったり、鼻水・鼻がつまったりしませんか?それは季節性アレルギー、いわゆる花粉症かもしれません。2月から5月頃に飛ぶスギ花粉が有名ですが、5月~10月はイネ科の植物が多くなるなど、アレルギーの原因になっている植物の種類によって発症する時期が一年の中でも異なります。梅雨に入るとスギ花粉の飛散は減り、症状も一旦治まる方も多いです。しかし複数の花粉にアレルギーがある方だと年中症状に悩まされたりします。
対策は症状が悪化する前に行うことが重要です。一度発症してしまうと目や鼻の粘膜が過敏になるため少しの花粉にも反応してしまい、花粉ピーク時には大変なことになってしまうのです。そうなる前に花粉の飛散予測日から予め抗ヒスタミン薬など事前に飲んでおくと発症を遅らせる事が出来て花粉ピークの頃には症状を軽く抑えることができます。そのためご自身がどの花粉にアレルギーがあるのかの検査を受けてその花粉がどの時期に多いのかを把握しておくと良いでしょう。
自宅の環境に花粉を持ち込まないために、帰宅前に服についた花粉を払い落とす、手洗いやうがい、洗顔で花粉を洗い流す、窓やドアを閉めて花粉の侵入を防ぐ、室内や寝具をこまめに清掃する、花粉シーズン中、布団は外に干さない、空気清浄機をかけて、室内の花粉を減らす、などの工夫をしましょう。
アレルギー性鼻炎のための薬は抗ヒスタミン薬を中心として、遊離抑制薬、抗LTs薬、抗PGD2薬、TXA2阻害薬、鼻噴霧(ステロイド、血管収縮薬)、点眼(抗ヒスタミン薬、遊離抑制薬)、ゾレア(抗IgE抗体)、アレルゲン免疫療法(予防)、ノイロトロピン注射などがあります。
食物アレルギー
食物アレルギーは、特定の食べ物がアレルゲンとなって発症する疾患のひとつです。主な症状は、じんましんやかゆみなどの皮膚症状、咳や喘鳴などの呼吸器症状です。このほか、腹痛や嘔吐、下痢などの消化器症状、瞼や唇などの腫れなどがみられることもあります。原因となる食物はいくつもありますが、乳児期は鶏卵や乳製品、小麦などが多いといわれています。学童期以降になると、甲殻類、魚介類、そば、小麦、果物、ピーナッツなどの食物アレルギーも増えていきます。なお、子供のころに食物アレルギーがあっても、大人になるにつれて耐性を獲得し、アレルギーが出にくくなる患者様もいます。食物単独ではアレルギー症状がでないが、アレルギー源の摂取と運動をセットで行うとアレルギーが出る場合もあります(食餌依存性運動誘発アナフィラキシー)。治療においては、原因となる食物を遠ざけることが原則ですが、医師の指導のもと、原因食物を少しずつ摂取して慣らしていくこともあります(当院は高校生以上を診療対象としています)。
気管支喘息
気管支喘息は、気管支がアレルギー性の炎症により細くなり、肺への空気の出入りが困難になり、呼吸困難を起こす疾患です。気管支が狭くなっていると「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった音(喘鳴;ぜんめい)が生じます。喘息は自律神経の働きにより1日の中では夜間に悪化することが多く、季節では寒暖差や気圧変化の大きい春や秋に悪化しやすいです。
すでに少し気管支に炎症がある状態でダニや埃などのアレルギー物質やたばこの煙などにさらされると、少しの刺激でも過剰反応を起こして喘息発作を引き起こすようになります。
解熱鎮痛薬、風邪などの感染症、過労、ストレス、天気の変化でも発作を生じることがあります。
薬物療法は、基本治療として平常時から気管支の炎症を抑えるため吸入ステロイド薬を使用し、症状に応じて気管支拡張薬、抗アレルギー薬などを追加します。吸入として用いるステロイドは全身への影響が少ないのであまり心配せず使うようにしましょう。喘息発作が起こってしまった時は、気道を拡げる効果のある気管支拡張薬を使用します。喘息発作が起きるということは気管支の炎症が治まっていないことの現れですから、炎症を抑えるための治療を強化します。発作を繰り返していると気管支が固くなってしまい元に戻りにくくなるため、発作が頻繁に起きている状態で発作の都度だけの対処をしていくのは避けるべきです。このほか、鎮咳剤や抗アレルギー薬、内服ステロイド薬などを服用することもあります。