- 7月 30, 2026
生活習慣病治療の意義と目標
メタボリックドミノという概念があります。2003年に慶応義塾大学の伊藤裕教授が提唱した概念です。
生活習慣の乱れから、遺伝的な要素とあいまって肥満(メタボ)状態をきたし、さらに高血圧、脂質異常、糖尿病、脂肪肝を起こすようになります。その時点では大した症状はありません。
しかし、それらの状態が続くと、やがて脳や心臓の血管のつまりなど重大な問題につながりやすくなっていきます。伊藤裕先生は、このようにドミノ式に健康の問題が生じていく様子を、メタボリックドミノとわかりやすく表現しました。最終的な問題は取返しのつかない健康障害をもたらします。そのようなことを生じる前に、症状がなくても高血圧、脂質異常、糖尿病などの治療をする必要があるのです。
また、この図から高血圧、脂質異常、糖尿病はひとつひとつ個別の疾患として管理するのではなく、包括的に管理することが重要といえます。

さて、それでは主な生活習慣病である高血圧症、脂質異常症、糖尿病の治療目標をまとめて記述したいと思います。
(食事療法や運動療法、生活の注意点などはここでは省略し、今後別の記事で取り扱います)
【血圧の目標値】 年齢や病気による目標区分はなくなりました
- 自宅での血圧 125/75mmHg以下
- 来院時の血圧 130/80mmHg以下
【脂質異常症の目標値】
LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)
高齢、男性、喫煙、高血圧症、HDLコレステロール低値、耐糖能異常、冠動脈疾患家族歴のリスクを持つ場合はより厳しい目標になります。
- 160mg/dL未満・・・低リスクの方。上記リスクに一つも該当しない方。
- 140mg/dL未満・・・中リスクの方。上記リスク1(~2)つ該当。
- 120mg/dL未満・・・高リスクの方。上記リスク2つ以上該当。または糖尿病、慢性腎臓病、閉塞性動脈硬化症のある方。
- 100(~70)mg/dL未満・・・心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などを起こしたことがある方
HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)
- 40mg/dL以上
中性脂肪
- 150mg/dL以下(食前)、175mg/dL(食後)
【糖尿病の目標値】
- ヘモグロビンA1c 6以下・・・血糖正常化を目指す場合、薬物治療で無理なく目指せる場合の目標。
- ヘモグロビンA1c 7以下・・・合併症予防のための目標。
- ヘモグロビンA1c 8以下・・・治療強化ができない場合の目標。低血糖のリスクが高い場合やサポートが得られず十分な治療が行えない場合など。
当院では、これらの生活習慣病の包括管理を行っています。
当院の診療がお役に立てる方は、ぜひご相談ください。
【参考資料】
- 日本高血圧学会:高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)
- 日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
- 日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドライン2024
- 伊藤裕 日本臨床, 61(10) 1837-1843, 2003

監修:ふかや内科リウマチクリニック 院長 深谷 進司