- 5月 6, 2026
- 5月 10, 2026
ADHDと肥満
ADHD(注意欠陥・多動性障害)は発達障害の一つで、脳の機能的な特性により
「不注意(集中できない・忘れっぽい)」
「多動性(じっとしていられない)」
「衝動性(思いつくとすぐに行動してしまう)」
の3つの症状が年齢に見合わず現れます。
生まれつきの特性であり、脳内の神経伝達物質(ドパミンなど)のバランスに関係していると考えられています。
良い方に作用すると、好きなことには驚異的な集中力を発揮して短時間で驚くほどの仕事成果をあげたり、独創的なアイデアや発想力を発揮したりします。好奇心旺盛で社交的、という特性もあります。
一方で、ADHDの衝動性の特性により、過食行動を起こし肥満となる方が、非ADHDより多いです。脳が不足したドーパミンを欲しがり、渇望感を生み出します。食べるということは快楽であるためドーパミンが放出されます。ドパミンを満たすための行動として必要以上に食べてしまうことが肥満につながると考えられています。「ストレスで過食してしまう。良くないと思っても自分で制御できず、あとで後悔する」のような訴えをする方は、これに当てはまる可能性があります。脳がドーパミンを欲しがる特性は、薬物、アルコール、ギャンブル、ゲーム、買い物などの依存症を合併しやすいことが知られています。

ADHDのある方4.8万人、対照者68万人を対象とした42件の研究のメタ解析によると、
小児の肥満の割合:ADHDのある方 10.3% 対照者 7.4%
成人の肥満の割合:ADHDのある方 28.2% 対照者 16.4%
と、ADHDのある方の方が肥満が多いと報告されています。
Am J Psychiatry. 2016 Jan;173(1):34-43.
ADHDのある方がGLP-1作動薬(マンジャロ)を用いると、非ADHDの方と比べて効果や副作用がどう異なるかについてはまだランダム化比較試験のような信頼できる研究が発表されていません(2026年5月)。
非ADHDの方と同様、過食は抑制し、減量は可能でしょう。消化器への作用のみでなく、脳の報酬系に作用して衝動的行動を減らしている可能性があります。異常な食行動を抑制できる結果として自己肯定感、自己効力感が高まりそうですが、一方で無気力といった訴えもあり、評価は一定していません。無気力は低血糖の現れではないかという意見もあります。これからの研究が期待されるところです。

院長 深谷進司