• 10月 12, 2025

マンジャロ使用中の脱毛;原因と対策

マンジャロを使用中に、髪の毛が抜けやすくなったという報告を受けることがあります。

原因と、対策について解説します。

頻度と脱毛のタイプ

ある論文では脱毛症はまれな有害事象(治療患者1,000人あたり1~5例)として報告されていますが、英国からはマンジャロ使用者の4%(≒25人に一人)に脱毛があった(プラセボでは0.7%)と報告されており、実際にはもっと多いのではないかという考え方もあります。

脱毛は2つのパターンに分けられます。

休止型脱毛と、男性型脱毛です。

休止型脱毛は急激な体重減少のような体へのストレスにより、毛根部が成長期から休止期に入り、2~4か月遅れて脱毛が目立つようになるという減少です。

同様の減少は、肥満手術、全身性疾患(消耗)、厳格な食事制限においても報告されています。

可過性で、原因がなくなれば数か月で回復するとされます。 

もう一つのタイプとして、男性型脱毛が発症または進行することが報告されています。

減量に伴うホルモンの変化が原因と考えられています。男性ホルモンの変化した物質「ジヒドロテストステロン」が髪の成長を抑制するために生じます。

進行性であり、自然治癒はしません。男性ホルモンへの体の反応が個人差があり、生まれつき素因を持っている方は男性型脱毛が生じやすいです。

マンジャロを使用中に脱毛を経験した方は、もともと91%が脱毛を経験していると報告され、その傾向がマンジャロ使用により助長されている可能があります。

提案する脱毛対策

マンジャロ使用の有無にかかわらず、頭髪への悪影響を避けるためには、1日6-8時間の規則的な睡眠をとり、ストレスをためないようにしましょう。アルコールの摂りすぎ、カフェインの摂りすぎ、喫煙なども間接的に頭髪に良くない影響があります。

食事には十分なタンパク質、鉄分、亜鉛、ビタミンB群を含めるようにしましょう。これらの栄養素は髪の健康に不可欠です。

急激な減量に体がついていっていないことを示唆している可能性があり、マンジャロの減量や間隔延長を考慮しましょう。減量ペースは1週間で0.5~0.9kgを超えないペースが良いです。

男性型脱毛への対策として、男性ホルモンが「ジヒドロテストステロン」に変換されるのを止める薬「デュタステリド」「フィナステリド」が有効ですので、使用してみるのもよいでしょう(ただし、いずれも保険適用外です)。

以上、マンジャロによる脱毛の原因と対策について解説しました。参考になれば幸いです。

引用文献

Cureus. 2025 Aug 13;17(8):e90021.

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