• 3月 20, 2025

人間ドックでリウマチ因子(RF)が高いと言われたら

リウマチ科では、検診や人間ドックでリウマチ因子(RF)が高いと指摘されたというご相談を多く受けます。
「リウマチ」というキーワードが入っているため、この数値が高く出た場合は、
・関節リウマチなのではないか?
・関節リウマチだとしたら、早く診断を受けて治療を始めないと関節が変形してしまうのではないか?
と心配されて受診される方も多くいらっしゃいます。

リウマチ因子は自己抗体の一種で、ある種の免疫活動が起きていることを示唆しています。

関節リウマチをはじめ、以下のような自己免疫疾患で陽性を示すことが多いですが、肝疾患、肺疾患、感染症でも陽性を示しますし、健常人でも高値になることがあります。

RFが高くなる原因頻度
関節リウマチ 70~90%
シェーグレン症候群 75~95%
乾癬性関節炎<15%
反応性関節炎<5%
混合性結合組織病50~60%
全身性エリテマトーデス15~35%
全身性強皮症20~30%
皮膚筋炎・多発性筋炎 20%
血管炎(PN、GPA)5~20%
亜急性細菌性心内膜炎40%
梅毒 8~37%
結核 15%
コクサッキーBウィルス15%
デングウィルス10%
EBV/CMV20%
A、B、C型肝炎ウィルス25%
C型肝炎ウィルス 40~76%
ヘルペスウィルス10~15%
HIVウィルス10-20%
麻疹ウィルス8~15%
パルボウィルス10%
風疹ウィルス15%
寄生虫疾患10-25%
混合性クリオグロブリン血症II/III型100%
肝硬変症25%
原発性胆汁性胆管炎45∼70%
悪性腫瘍5∼25%
ワクチン後10∼15%
サルコイドーシス5∼30%
50歳の健常人
70歳の健常人
5%
10-25%
Dis Markers. 2013; 35(6) 引用1

リウマチ因子(RF)は関節リウマチと診断される方の70-90%で陽性を示します。関節の痛み・腫れ・こわばりがある方では、もう一つのリウマチ反応である抗CCP抗体や炎症反応の有無と組み合わせて”関節リウマチらしさ”を判断します。

RF陽性+関節の痛み・腫れ・こわばり=関節リウマチ?

リウマチ因子が特に高い場合は一定の配慮が必要です。デンマークで9000人超の一般人を対象として大規模に行われた研究で、特に関節リウマチの発症リスクが高い要素が重なった集団(RFが100以上、関節リウマチの後発年齢である50-69歳、女性、喫煙あり)からは、10年間での関節リウマチ発症率は32%と高かったのです(引用論文2)。RFが正常値を超えていても少しの上昇ならばあまり気にする必要はないものの、RFが特に高値(100以上)や抗CCP抗体が高値と分かった場合は注意が必要と言えます。

RF高値(>100)+50-70歳女性+喫煙=将来の関節リウマチ発症リスクあり。禁煙しましょう。

しかし関節症状を自覚していなければ話は別です。検診でRF高値を指摘されたため心配して受診される方の多くの方は関節症状を自覚していません。たまたま検診で言われたから、あるいは血縁者にリウマチの方がいるため自分もリウマチになったのではないかと心配だから不安になって受診したという方が多いです。そのような中で関節リウマチが見つかるケースは少ないです。

健常人でみられるRFの数値は、通常低~中程度です。健常人でも高齢になればなるほどRFがみられる割合が増えてくることがわかっており、70歳であれば10-25%が陽性を示します。加齢による適切な免疫制御からの逸脱を反映していると考えられていますが、ただちに病気というわけではないということです。

健診で指摘されるリウマチ因子高値には健常者であるケースが多数含まれており、関節リウマチの可能性が高いわけではありません。

リウマチ学会のホームページにある一般向け情報にも「RFが陽性、高値であっても患者が無症状の場合には、必ずしもで専門医へ相談をする必要はありません。」と記載されています。

関節リウマチはあくまで関節は腫れて痛むといった“症状ありき”の疾患です。ですから症状がない人がリウマチを心配する必要はほとんどないのです。

将来の関節リウマチを発症する予測因子としても弱いです。(もう一つのリウマチ反応である抗CCP抗体が陽性の場合は高い確率で関節リウマチを発症します)

ではなぜ関節リウマチでもないのにリウマチ因子が陽性となってしまったのでしょうか?
さきほどの表のように、リウマチ因子は関節リウマチの患者さんで陽性となる他に、感染症や肺、肝臓疾患、いくつかの膠原病で陽性となることがあります。RFだけがこれらの病気発見のきっかけになることは少ないですから、なにかしらの膠原病を示唆する症状や肝機能異常、レントゲンでの異常などと組み合わせて判断します。別の検査異常があれば、膠原病や感染症を考えて精密検査を追加する必要はあります。異常がなければ心配しなくてよいでしょう。

RF高値+肝機能異常=C型肝炎など肝疾患を考える

RF高値+胸部レントゲン異常=間質性肺炎を考える

RF軽度高値のみ(症状や検査異常なし)=病気の可能性は低い(将来関節リウマチ発症の可能性が高いとは言えない)

 

(1) Dis Markers. 2013; 35(6)

(2) BMJ. 2012; 345: e5244.

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